【SPコラム⑬】オメガ3系脂肪酸の摂り方の注意点

ライフステージごとのオメガ3系脂肪酸の役割について、いくつかお話してきました。
では、普段の食生活の中で、私たちはどのようなことに注意して、アブラをどれくらい摂ればよいでしょうか?

オメガ3系脂肪酸であるEPAやDHAを最も効率良く摂取できるのは魚介類からです。魚食が苦手だったり、甲殻類にアレルギーのある方はえごま油やアマニ油などのα-リノレン酸を多く含む植物油からの摂取をおすすめします。

厚生労働省が発表している食事摂取基準によれば、1日の脂質摂取量の目安は、男女差、年齢差、行動性の差はありますが、概ね50~70gです。
オメガ3系脂肪酸は身体には必要な油ではありますが、カロリーは他の油脂と同じ9キロカロリーなので、脂質全体の摂り過ぎにならないよう、また、過剰摂取になりやすい種類の油を控えることも忘れないでください。
控える油の第一候補はオメガ6系脂肪酸です。オメガ6系脂肪酸はオメガ3系脂肪酸と相反する役割を持ち、加工食品に汎用されています。理想の摂取バランスは、オメガ3系脂肪酸「1」に対して、オメガ6系脂肪酸が「2~4」の1:2~4と言われています。

食生活の中で、料理などに使う「見える油」は、摂取する油の20%程度と言われ、残りの80%は「見えない油」です。まずは目に見えない加工食品中の隠れ油に注意しましょう。
買い物では、商品の食品表示に記載されている原材料名を確認してください。「植物油」は、全てオメガ6系脂肪酸を含む油と考えてよいでしょう。予想以上に「植物油」が使われていることに驚くと思います。

まずは、毎日1回の魚食、または最低小さじ1杯のえごま油やアマニ油を目標に、食習慣を見直していきましょう。

また、プレコンセプションケア期間(妊娠に向けての身体作り期間)や妊娠・授乳中の方は、ぜひ普段よりも多くオメガ3系脂肪酸を摂っていただきたいですね。注意する点は、妊娠中は食中毒の予防のために、生で魚介類を食すのは控えた方が良いですし、マグロなどの大型魚や深海魚は、食物連鎖による水銀の心配も出てくるので、サンマ、イワシ、サバなど比較的小型の魚がおすすめです。


◆あぶら博士プロフィール(詳しくはこちら

*守口 先生(薬学博士)

麻布大学 生命・環境科学部 教授
日本脂質栄養学会 理事長

 

 

 

 

 

*原馬 明子 先生

麻布大学 生命・環境科学部 特任准教授

 

 

 

 


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