【油博士コラム③】エネルギー産生栄養素について②

今回は、かつて三大栄養素と呼ばれていた「エネルギー産生栄養素」について解説します。

炭水化物

炭水化物の糖質は、エネルギー源であり、消化管と小腸粘膜で単糖にまで分解され、吸収されます。 吸収された単糖は、各細胞に取り込まれ、エネルギーを産生します。過剰な糖質は、肝臓や筋肉にグリコーゲンとして蓄積されますが、それよりも過剰に摂取した場合は、脂質に変換されて体内に蓄積されることになります。ご飯や麺類などをたくさん食べると、しっかり脂となって体重が増えますよね。それがこの理由です。身体にとっては、4 kcal/gの糖質よりも、9 kcal/gの脂質にして蓄える方が効率的ですよね。

また、エネルギー源にならない糖質として食物繊維があります。食物繊維は吸収されないので、消化管を通過する過程で、過剰な栄養素の吸収を遅らせたり、消化管内にたまったゴミ(老廃物)を一緒に排出して、腸内環境を整える作用があるとして注目されています。

 

タンパク質

タンパク質は、構成するアミノ酸にまで分解されて体内に吸収されます。取り込まれたアミノ酸は、肝臓のアミノ酸プールに蓄えられ、筋肉だけでなく、臓器や皮膚、酵素やホルモンなどの材料になります。お肌プルプルのためにコラーゲンを!と思っても、アミノ酸まで分解されたものが再びコラーゲンとなって肌にまで届くかどうか…。それよりも、コラーゲン合成に必要なビタミンCを取る方が賢明かもしれません。

アミノ酸は20種類あり、そのうち9種類は身体で作れない必須アミノ酸です。動物性タンパク質(肉、魚、卵)にはその9種類がバランス良く含まれていますが、植物性タンパク質(大豆,小麦)では補えないものもあるので注意してくださいね。最近、プロテイン飲料がたくさん販売されていますが、裏表示の原材料をチェックしてみると由来が分かって面白いですよ。肉や魚が苦手な方や筋肉をつけるために運動とセットでプロテイン飲料を摂取するのはいいですが、「なんだか体に良さそう?!」だけで飲んでいると、過剰なアミノ酸は尿と一緒に排泄され、腎臓への負担が大きくなるので注意が必要です。

 

脂質

みなさんがカロリーとして一番気になるのは「脂質」ではないでしょうか? でもその裏返しは、とても効率の良いエネルギー源であるということ。他にも、皮下脂肪による断熱(保温)や皮脂による紫外線の防御、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、Eなど)の吸収が良くなるなどの働きがあります。 そして、一番大事なのは、身体を作る細胞一つ一つの膜(細胞膜)は脂質でできているということです。脂質を知ることは身体を整えるためにとても重要です。

脂質は構成している「脂肪酸」にまで分解され、吸収されます。脂肪酸の種類は4つあり、それぞれ役割が異なりますが、この内容は次回以降に詳しくお話しましょう。

ここで注目したいのは、摂取した脂質の脂肪酸は種類を変えることなくそのまま吸収されるということ、そして、脂質は排泄されませんつまり、余分な脂質は燃焼するしかないのです。

脂質は、身体を作るためには必要で、脂肪酸の役割は決まっており、摂りすぎると蓄積されます。また,過剰な糖質からも脂質はできて蓄積されます。ということは、「摂りすぎないために控える」ではなくて、「必要な脂肪酸を含む脂質を自分で選んで摂取すればいい」と言うことになります。

 

 


◆あぶら博士プロフィール(詳しくはこちら

*守口 先生(薬学博士)

麻布大学 生命・環境科学部 教授
日本脂質栄養学会 理事長

 

 

 

 

*原馬 明子 先生

麻布大学 生命・環境科学部 特任准教授

 

 

 

 


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