肌トラブルのない美肌の大きな鍵を握っていると言われているのが腸です。腸は便通だけでなく、肌を健康に保つために大きな役割を担っています。今回は、体の内側から美肌を目指す食事のポイントをお伝えします。
人は肌などの体の修復に必要な栄養を食べ物から取り入れています。この栄養を吸収できる唯一の器官が腸です。つまり、どんなに多くの栄養を取っても、腸が整っていないと体の中に取り入れることができず、外に出て行ってしまいます。その結果、肌がうまく修復されずに荒れやすくなってしまいます。
また、腸内には数百種類数百兆個もの腸内細菌が住みついています。この腸内細菌は体内で多くのビタミン類を作り出します。このビタミン類は肌の修復に必要不可欠です。腸内環境が整っているとビタミン類は十分に作ることができますが、食生活などの影響で乱れてしまうと、体内で作る量が減ってしまうと言われています。肌の修復に必要なビタミンの減少は、肌荒れの原因の1つとなります。
腸内環境を整える為には、元気な腸内細菌を増やすことが大切です。腸内環境を整える代表的な菌が乳酸菌です。乳酸菌にはチーズやヨーグルトなど動物性の食品からできた動物性乳酸菌と、漬物やキムチなど植物性の食品からできた植物性乳酸菌があります。動物性乳酸菌は胃酸に弱く腸に届くまでに菌が死んでしまうと言われていますが、死んだ菌でも腸内の善玉菌のエサとなります。一方、植物性乳酸菌は過酷な状況でも生き抜ける強い菌です。腸内に生きたまま届きやすく、悪玉菌の繁殖を防いでくれます。
腸内細菌を腸の中で増やす為には、菌のエサもセットで取ることが大切です。菌のエサは主に野菜や果物に含まれる食物繊維に含まれています。食物繊維は水に溶けにくい不溶性食物繊維と、水に溶けやすい水溶性食物繊維の2種類に分かれます。この内、腸内細菌のエサになりやすいのが水溶性食物繊維です。水溶性食物繊維はわかめや昆布などの海藻、りんごやみかんなどの果物に多く含まれています。毎日習慣的に摂り入れることで腸内の善玉菌が増えやすくなります。
えごまオイルに含まれるオメガ3は抗炎症作用があり、傷ついた肌の修復を手助けします。さらに、アトピーや花粉症などのアレルギーも緩和することが知られており、これらによる肌荒れも和らげてくれます。えごまオイルは約小さじ1杯で1日分のオメガ3を取ることができます。加熱に弱いオイルですので、料理の上からかけたり、カルパッチョなど生のまま食べられる料理に使用することがおすすめです。
腸内環境は日々変化していきます。腸を元気にする食生活を習慣化していくことで美肌を手に入れましょう。
◆加勢田 千尋さん(管理栄養士)
腸専門の食育学校を運営する
「一般社団法人CHO-JIN食育協会」代表。
腸の専門家として、薬やサプリメントに頼らない
腸を元気にする食事法を発信している。