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2025.10.08
太田油脂の「北海道産亜麻仁油」に使用している「亜麻仁」を栽培している、有限会社コタニアグリの代表取締役社長 小谷さんにお話を伺いました。
目次
つくり始めるきっかけは、実は食用ではなく建設資材としてでした。
「亜麻の繊維を原料として土に戻る壁材を」と、亜麻の栽培をしてくれる生産者・農業者を探していた、東京の内装関連の会社さんとの出会いが始まりでした。
実は、十勝では1960年代まで繊維原料としての亜麻の一大産地でした。その後、化学繊維が主流になって栽培が途絶えてしまった歴史があります。その十勝で亜麻栽培が再開したことは運命なのかもしれないと思っています。
美味しい亜麻・亜麻仁オイルになるには、やはり原料となる健康な亜麻が必要です。病気はもちろん、雑草が亜麻の品質に大きく影響します。他の穀物や野菜よりも栽培の中で農薬に頼る事ができない作物なので、機械や人の力で雑草を取り除き、亜麻が畑の中で健康に快適に生育できる環境を作ることを心がけています。
身体や健康を想い亜麻仁オイルを食べる人のことを想い、私たちも極力農薬を使わずに機械や人間の手を使って、健全で安心な高品質の亜麻を作っています。
また農業者は収穫して終わりではなく、収穫した亜麻を調整・選別する事も大事な仕事です。毎年気候や天気が違うように、亜麻の品質も異なります。だからこそできるだけ良い品質の亜麻をみなさんに届けるため、重さや形だけでなく色でも識別・選別を行い、毎年高品質のものを出荷できるように取り組んでいます。
播種の時期は雪が溶けてその下から畑の土が現れる4月の下旬から5月上旬です。亜麻は長日作物なので日の長さが成長や登熟に大きく影響するため、できるだけ早く播種する事が大事ですが、北海道は5月に入っても霜が降りる事があります。ちょうど発芽して無防備な新芽が霜によって枯れてしまう場合があります。そのため、春の気温や気候を読んで播種する日を決めています。
また、収穫時の8月下旬には、台風によってしっかり立っていた亜麻が全て倒されてしまう事があります。亜麻の実が収納されているサヤが地面に接地してしまい、雨の水分によって品質が低下する事もあります。
このように播種や収穫するまで天気や近年変わりつつある気候と対峙しながら、人間ができることを尽くすという部分が難しくもあり、やりがいでもあります。
亜麻は北ヨーロッパやカナダで生育されているように冷涼な気候を好みます。北海道の緩やかな春から夏への気温と、日本屈指の十勝の日照時間による陽の力によって、じっくりと生育・熟成されることによって品質の高い亜麻が育ちます。極力農薬に頼らない安心な原料だけでなく、外国産と違い輸送に過剰なエネルギーを使わない持続可能な亜麻です。
亜麻の花は朝日とともにその花弁をひらき、正午には散ってしまいます。そして薄いブルーのような紫に近いとても神秘的な色の花を咲かせます。その短い時間だけ現れる一面の儚い幻想的な景色に心奪われます。
お刺身の醤油に亜麻仁オイルを一滴垂らすとお刺身にコクが足されます。マグロの赤みが中トロのように味わえます。
北海道の広大な大地と生産者の手によって大事に育てられた亜麻によって搾られたオイルです。亜麻仁オイルでココロとカラダを健康に保って日常を楽しんでください。そしてぜひ一面に広がる亜麻の花畑を北海道に見に来てください!